エロット世界の歴史・設定

恒星間戦争-貝殻戦争

エロット開発の歴史
第一世代(通称:ナイトメア)
第二世代(通称ジョージ)
第三世代(通称エロット)


恒星間戦争
エロットは人類が始めておこった恒星間戦争の切り札として開発された。そしてその相手は、恐るべき力を秘めた異形の生命体だったのである。


ムール星人(恒星間戦争中の名称:クトゥルー)
人類が始めて恒星間戦争を行った相手である。貝から進化したムール星人は4つの目と、4つの足、6つの触腕と、10本前後の触手を持つ。成体の全長は甲殻と本体をのばせば、約10m前後だが、ものによっては20m前後から100mのものも存在する(彼らの王アザートスは、全長約150mである)甲殻は強固であり、至近距離の対戦車砲ですら跳ね返す。また本体は特殊な粘液によって守られており、耐熱、対光、耐寒能力に優れている。さらに、元々海中生命体なので耐圧能力は極めて高く前述機能を含め、恐ろしいほどの防御能力を有する。

しかし、もっとも恐ろしいのはその増殖能力で、一度に百万個の卵を放出すると言われる
※1:1日で孵化し、5日に成体となる。もちろん大半は気候や共食いなどで死滅し、成体になるのはおよそ20〜30匹前後と言われている。
※2:なお、これは戦時における彼らの特殊な行動であり、通常は満月の時にしか卵を放出しない。


ムール星人は自身の生体を構築し変化させる技術(あるいは進化?)をもっており、彼らは宇宙戦艦へと体を変換させた「ハスター」(と我々が呼ぶムール星人)をジュール・ベルヌ方式(砲台に変化したクトゥルーでハスターを大気圏外へと射ち上げる、砲台に関しては良くわかっておらず、あるいは他の従属生命体の可能性も高い。なお成功率は極めて低く20%前後と言われている)で宇宙へと送り届けたあと、宇宙艦隊を構成する。
宇宙へ飛び出したハスター型ムール星人は生涯を宇宙で過ごす、むろんそのままでは死んでしまうので、本星より打ち上げられた物資を用いて、前線基地(難攻不落の機動要塞)カダスを構築し、そこを拠点としている。

ハスターは戦艦といっても基本的にムール星人であり、その特性が遺憾なく艦隊戦で発揮される。彼らは耐熱、耐光、耐圧にすぐれるため、ビーム砲や、ミサイル兵器がほとんど効果を発揮しない。そのうえ、彼らが使用する兵器イアン砲(と我々が呼称した)は、砲弾こそ、単なる水であるが、放出時に超高速の弾丸となった上に、途中で亜空間移動を行い艦隊に張り巡らせていた障壁を通過して戦艦の装甲に突き刺さり、内部を破壊せしめるのである。
要するに弾がワープして懐に入ってしまう、論理不明の兵器であり、ほとんど防御が不可能であるため、手も足もでない。
そのため戦争初期には大混乱に陥いり、終末論が一気に広まったのも仕方の無いことであった。

惑星占領のさいには、ハスターから、降下用のムール星人「カルマサ」が放出される。カルマサは大気圏突入能力に特化しており、戦闘能力はほとんど低く、迎撃は容易であるが、生殖能力が極めて高く(通常の3倍、3百万個の卵を一度に放出すると言われる)一度補足に失敗すると一ヶ月もしないうちに惑星はムール星人で溢れかえってしまう。
彼らのこの増殖率に工場生産が間に合わないことが、後にエロットと呼ばれる自己増殖兵器の開発が決定される要因となったのである。

このようにムール星人は一見無敵のようだが、基本的に水中生命体であり、水が無いと攻撃はおろか、生命さえも維持できない。従って補給に極めて慎重であり、侵攻速度は遅い。さらに近場に水星惑星が無いと、ほとんど身動きがとれないという欠点も有している。 そのため、人類は彼らを研究し対策を行う時間も得ることができたのである。
[開戦理由]
ムール星人は人類が二番目に遭遇した宇宙人である。最初のファーストコンタクトは友好的に終わった人類は、今回のムール星人も友好的に接しようと試みた。
当初、外見的に威圧的なムール星人に懸念するむきもあったが、それは差別的であり、失礼であるとして友好使節団が送られたのである。使節団の団長は、当時売り出し中の女性議員であり、未来の連邦元首とも言われていた逸材であった。彼女達はムール星人と会うと、今まで通信により得られた知識で身振り手振りで対話を行った。
会見は成功するかに見えたが、終了直後にムール星人達はなんと使節団員達を、その触手で拘束すると、口から卵を体内に放出するという暴挙に及んだ。リアルタイムで流れていたこの映像に連邦市民は恐慌し、直ちにムール星人達に武力行使されることが決定された。

だが、これは人類の大いなる誤解であった。彼らムール星人が施設団員達に卵を産みつけたのは「私の子供達を貴方達に託すほど信用していますよ」という最大級の友情の印であったのである。
両者にとって不幸だったのは、人類には友情の証に卵や子供を産みつける文化を持っていなかった事と、人類はムール星人の幼体を産み出すほど頑丈では無かったという点である。

そのため、ムール星人は攻撃をしかけてきた人類に怒り狂った。
だが悲劇はその後にもおきる。前線において補給のきれた人類の部隊が、試しにムール星人を食べてみたら、結構美味しく食べられることが判明したのである。元々が貝なので、バターで炒めたりすると香ばしく(本国のものと比べれば味は落ちるが)各部隊が補給物資節約のため、こぞって食べるようになったのである。
むろん、軍部は、衛生観念の点から、いかなる病原体があるか分からないから食べないようには通達したが、あまり効果がなかった。
自分達を食す人類を見たムール星人は、人類に対して「我々を食料にするためにきた」と恐れおののき、人類を種の敵と認識、総力戦を開始することとなった。

かくして人類は「自分達を宿主にしようとしている」という勘違いをおかして開戦し、ムール星人は「彼らは我々を食料にしようとして襲ってきた」という危機感により退路定まらぬ決死的反撃を行った。
このような理由のため、ムール星人を暗黒の邪神クトゥルーと並び称し、「古神戦争」「暗黒戦争」と名づけられた種族の存亡をかけた大戦争が、和平後に「貝殻戦争」という脱力感溢れる名称に変更されたとも言われている。

エロット開発、第一世代と第二世代

理由は何であれ、種の存続をかけた戦争が開始された。当初、高度な科学技術を持った人類は、高い知能とはいえ別段何かしらの機械技術を要していないムール星人を一蹴できるであろうと考えていたが、結果はさんさんたる物であった。ムール星人の艦隊になすすべもなく撃破されていったのである。だが、水中生命体であるムール星人は水分の確保と補給に時間がかかり侵攻速度は遅く、人類はそのあいだに新型兵器の開発に全力をつくすこととなった。



第一世代(通称:ナイトメア)

現在エロット(EROT)と言われているのは、第三世代と呼ばれるものである。 初期に投入された第一世代、通称ナイトメア・クリエイトは、遺伝子レベルで改造された生体兵器であった。最初に選ばれたロット、すなわちA-ロットから、エロット(EROT)という名前がつけられたという。

その形状は巨大な体毛の生えたナメクジにトンボの多眼を足したような姿である。熱線や冷気に強く、再生速度もずばぬけている。さらに一度に40から50の卵を放出し、瞬く間に戦力を回復することもでき、軍上層部はかなりの期待をしていた。

だが、その形状があまりにも不気味なため、前線で悪夢にうなされるものが続出。投入された戦場から「敵よりも、むしろ味方兵器の姿に悪夢を覚える…(中略)…あのエロットと呼ばれる兵器が、次々と卵を体内から産み出し、施設の中に繭なり、巣なりを作っていくさまは表現にしがたく…(中略)…これ以上は精神が持たない投入の中止を望む。」との報告が、続々と舞い込み、精神異常を訴えるもので後方が溢れ帰ってパニックになてしまった。
それゆえ、わずか投入後数ヶ月で姿を消してしまった。

第二世代(通称ジョージ/ロボ)

第一世代は、その容姿ゆえに姿を消したが戦闘力/繁殖力は軍を満足させた。だが、多生殖というのは、生物に限定するとおおよそ可愛いものにはなりがたく、今度は自己増殖型というコンセプトを残し、無機的要素を取り入れることが決定された。
そこで、一旦は法律で禁止されていた自己増殖型ロボットの開発に軍はのりこんだ。 禁止されたのは、増殖したロボットに人間が対応できない可能性があるということであったが、これは自爆装置の設置やソフト面においての「縛り」でこれを克服することに成功した。
現在、エロット達が過剰に人間に対して「依存(甘え/崇拝等)」を有しているのは、この時の決定によるものである。

無機的要素を取り入れるものであったが、共同開発するはずであった生体科学研究所の設置が遅れることとなり、100%無機物で出来たロボット兵器とすることになった。
これが第二世代である。第二世代はエロット、すなわち自己増殖戦略兵器としては失敗だった。自己増殖機能が上手く作動しなかったのである。
生体機能の無いロボットでは、飯をモリモリ食べて次々増殖するというわけには行かなかった。一定の工場なり施設が必要であり、単体それ自体では増殖速度が遅く、再生産した方が早かったのである。

が、これはエロットとして見た場合であり、普通のロボットとして見ると評価はまるで違った。 まず、生産性が高かった。自己増殖しやすいように構造が簡単に作られたためであり、ちょっとした工場でもあれば、すぐ生産できることを意味していた。
また互換性が素晴らしく良かった。自己増殖型ゆえに一度に大量に出現が予想され、各パーツは様々ものと互換性を持つように設定されていた。
そのため各部位に多くの同型のパーツが使用され規格が統一されていたのである。
そのため足が壊されても腕のパーツが転がっていれば直ぐに繋いで戦線に復帰することもできた。これは自己増殖型は再生機能も高いために起きたということもある。
また、壊れにくいのも特徴だった。これはどこでも自己増殖できるように荒地や寒地における生存率を向上させたのが生きていた。

従って戦闘力は遥かに第一世代に劣り、繁殖力はほとんど無いにも関わらず、戦場ではどこでもいつでも一緒に居られるタフでガッツのある戦友として、兵士達に大絶賛された。
いつしか第二世代はジョージと呼ばれ、その生存性と生産性の良さから戦争終結後の今日に至っても、警備会社や公共施設で働いている。
第三世代(通称エロット)


現在、エロットと呼ばれているのがこの第三世代である。第三世代は、最初からこのような形であったわけではない。最初の第三世代は、スキン・コーティングがされてなく、さらに胸部ユニットが無かった。
○初期型EROT-VS(通称:スリーピー)

第二世代エロット(ジョージ)の完成後、生体科学研究所が設置され、本来の趣旨であった生体科学を利用した自己増殖型戦略兵器ロボットの開発が行われることになった。

だが、第二世代エロット(ジョージ)の成功に気をよくした議会の中から、これ以上の開発は必要ないのではないか。との声も出始めていた。
これは自己増殖型ロボットに対する不信感と、第二世代エロット(ジョージ)のおもわぬ戦果(すなわち陸戦兵器としては十分な戦力であった)に、開発費を別な部署に回したほうが効率的では無いかという声が議会からももちあがっていたのである。 そこで軍部は、陸戦兵器の一本化を行うことになった。すなわち、これまで並行して行われていた陸戦兵器のうち、ロボット兵器(機動兵器を含む)をエロット(自己増殖機能及び自己修復機能を有するロボットの総称)として開発/運用することに決定したのである。

その雛形として製作されたのが第三世代、通称・初期型エロットである。
通常眠たそうな顔をしていることからスリーピーと愛称をつけられた初期型エロットは、ジョージを基礎として製作され、自己増殖機能を高めた機体である。
○後期型EROT-VSC(素体)通称:エロボ/ロボ娘(コ)

第三世代エロット初期型(スリーピー)は全体的な戦闘能力は第二世代ジョージに落ちるものの、機動力と増殖能力は高く、次世代エロットとして期待されたが、試験的に送られた前線では期待値より遥かに劣る増殖力で関係者を落胆させた。

増殖力が低かった理由は、ひとえにエネルギー問題であった。
戦場においては試作データよりもはるかにエネルギーを消耗し、増殖に行われるエネルギーが抑えられてしまったからである。
また元々基礎としたジョージ自体が大量のエネルギーを保存するように出来ておらず(さらに増殖力の低さから、後期型のジョージからは増殖用エネルギーが省かれていた)設計段階におけるミスともいえた。これを克服するために、胸部にエネルギー保存するためのユニット(別名・おっぱいユニット)を開発することになった。胸部ユニットには大量のエネルギーを特殊な粘液状で保存され、爆発しないばかりか(注意:ただし専用の信管があれば爆弾として使用可能)その弾力性から衝撃力を吸収し、防弾にも使用でき、前面防御を高めるといった利点があった。

この胸部ユニットの装着によってエネルギーを大量に保存できるようになり、問題は解決したが、第三世代エロットはその分、機動力を失う結果となった。(もちろん、人間よりは遥かに早く移動はできる)なお後期型エロットを見た議員の一人は「母乳も出ないので、胸ばかり大きいロボ」と言って苦笑したと言われている。(現在のエロットの胸部ユニットからは母乳を出すことも可能。これは家庭用に調整されたさいに、保母、あるいは家政婦として乳児をあやす役割をできるようにしたためである)

さらに前線で要望があった表情を豊かに表現する(一説によるとある艦隊司令官の娘が人形代わりに遊んでいて、造形を父親にせがんだともいわれる)ことと人間に近い皮膚(スキン・コーティング)も追加され、第三世代エロットは現在のような形となった。

○海兵隊仕様EROT-VSM(通称:サムソン)

第三世代初期型エロット(スリーピー)と同一時期に開発された海兵隊仕様のエロット。(開発コードが同じSなのはそのため) だがスリーピーとは開発コンセプトが異なり、増殖機能は無視され、その分、自己修復/再生能力と、武装および防御力の強化を重点に開発された。そのため、新世代エロットというよりも、むしろ第二世代(ジョージ)の強化発展型とも言われ、第二世代末期型/あるいは第二世代発展型とも呼称されている。

海兵隊仕様エロット(サムソン)の頭部、上半身、腕の各部は海兵隊仕様とはいえ、エロット特有の互換性は持っているが、武装と防御力、索敵能力の強化のため、重量は極めて重く、第二世代(ジョージ)と第三世代(スリーピー及びロボ娘)に装着しているエロット脚部では過負荷に耐えられず、大きく機動力は低下してしまう。
(さらに長期間の装着には耐え切れず破損してしまう)

また、第三世代の特徴であるエネルギー保管ユニット(第三世代エロット後期型には胸部ユニットとして装着されている)を最初に取り入れたのも、この海兵隊仕様エロット(サムソン)からである。
しかしエネルギー保管ユニットは後期型とは違い胸部では無く、後部タンク/ロケットとして備え付けられている。
これは武装強化による重量の増加、それにともなう機動力低下をロケットでおぎなうためであり、エネルギーの大部分は自己増殖や自己修復には用いられず、ほとんどがロケット燃料として使用されるからである。

恒星間戦争の末期に作られ活躍を大いに期待されたが、重武装による生産性の悪さにより生産が遅れ、本格的な増産に入る前に戦争が終結してしまった。その為、思うような戦果は出ず、ごく少数配備されただけで終わってしまった。 現在は、海兵隊部隊に機動歩兵(人間/マスター)に従う、軽/突撃エロット(ジョージ)重/支援エロット(サムソン)として編成/編入されている。

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